そけいヘルニア(脱腸)についてのお話(第二回目)
今回から2回にわたりそけいヘルニア(脱腸)について、広津外科・消化器外科医院(久留米市原古賀町)の広津順先生にお話を聞いてきました。
院長 広津順
そけいヘルニアの症状は?
まずは、下腹~足の付け根の部分の腫れです。その他に、違和感、痛み、腸が引っ張られるような感じなどです。悪性の病気ではありませんが、出てきている腸が戻らなくなった陥頓(かんとん)という状態になると、腸の血流が悪くなり、最悪の場合は腸を切除しなければならなくなる場合もあります。
そけいヘルニアになりやすい体質・職業などは?
40歳代以上の男性、立ち仕事や力仕事の方、激しい運動をされる方、便秘の方、ぜんそくやよく咳をされる方、出産経験のある女性などです。
治療法は?
残念ながら、自然に治る病気ではありません。ヘルニアの出てきている弱くなった筋肉の膜を専用のメッシュで補強する手術です。以前は自分の筋肉を無理に寄せて補強していたので、術後の痛みが強く、長期の入院が必要でした。現在のメッシュを使った手術法が開発されてからは、痛みが軽く、早期退院が可能となりました。最近では日帰り手術が可能な施設もあります。日帰り手術は、入院費もかかりませんので経済的なメリットはもちろん、お仕事が忙しい方や他人に知られたくない方などにも喜ばれています。また、入院が難しい認知症の方などにもいい適応だと思います。
そけいヘルニアの克服に向けて
そけいヘルニアは、全国での手術件数が年間15万件と虫垂炎の6万件に比べて格段に多い疾患です。決して珍しい病気ではありませんし、手術でなおる病気です。“恥ずかしい”と治療をためらってある方も多いようです。
当院に来られた患者さんの声
20年来のそけいヘルニアがあり、他院で治療を勧められ当院を受診されました。特に痛みもなく、放置していたが、温泉に行くときに気になると言われてありました。術後は、「こんなことならば早くしておけばよかった、これで温泉も気にせずに行けます。」と大変喜ばれてありました。あとは、ヘルニアバンドをはめながら運動していたという方、週末に手術をして仕事に支障なく治療ができたといわれた方、などいらっしゃいます。
投稿日:2013年11月26日(火)